history_edu 研究背景

日本人は古くから季節行事などで花と深く結びついており、特に仏花や祝花としての花の需要は根強く、一定の流通量が存在する一方で、特定の用途に偏った消費構造が「フラワーロス(花の廃棄)」の一因となっている。農林水産省や経済産業省、業界団体の報告によると、日本国内で出荷される切り花約31億本のうち20~30%が廃棄されているとの調査結果があり、その背景には商品寿命の短さや基準の厳格さ、ニーズの変化、流通構造の課題などが複合的に関係している。

フラワーロスの要因グラフ

日本の生花は産地から市場、仲卸、小売といった多段階を経る流通構造が主流であり、この構造は物流や在庫管理の効率性に課題があり、市場ニーズに応えきれていない場合が多く、フラワーロスの要因となっている。また、生花の生産現場では水資源や多様なエネルギーが投入されており、廃棄される花は経済的損失にとどまらず、温室効果ガスの排出や資源浪費といった環境負荷にもつながる。

lightbulb 仮説・研究目的

フラワーロスの背景には花き業界特有の「プロダクトアウト型販売」が大きく影響しており、生花店が良いと判断した花や仕入れた在庫をもとに商品を構成し、それを消費者に提案・販売する形が主流であるが、一方通行的な販売手法は消費者の多様なニーズを十分に反映できず販売機会の損失や廃棄を誘発している。

プロダクトアウト型販売の図

また、このような構造は流通全体の柔軟性を欠く要因ともなっており、予測困難な需要の変動に対応できない余剰在庫や販売ロスが常態化している。これに対し、消費者が「何を・いつ・どのように」求めているかを能動的に発信できる仕組みがあれば、需給のズレを緩和し、無駄のない取引が可能になると考える。したがって、本研究では販売者と消費者が双方向に情報を共有できるプラットフォームを開発することで、従来の販売構造に変化をもたらし、フラワーロスを削減できるとの仮説を立てる。

code プロトタイピング・実装

本研究では、フラワーロス削減を目的としたeコマースプラットフォームの有効性を検証するため、プロトタイプシステムの設計および実装を行う。そこで、既存のeコマースサイトを実際に閲覧し、画面構成、情報配置、操作導線に関する調査を行うとともに、商品一覧画面および出品フォームにおけるUI・UXの設計手法に着目し、利用者が直感的に操作可能な設計要素を抽出する。
そして、調査結果を踏まえ、視認性および操作性を考慮した画面構成を本研究のプロトタイプに適用する。
次に、プロトタイプの実装にはVisual Studio Codeを用い、HTML、CSS、JavaScriptによるフロントエンド開発を行うとともに、バックエンドおよびデータ管理にはGoogle Firebaseを採用し、販売者および消費者の情報ならびに商品の情報をクラウド上で管理する。これにより、サーバ構築を不要とする開発環境を構成し、迅速な試作および機能検証を可能とする。
さらに、本システムの主要機能として、消費者が商品に対する要望を投稿可能なリクエスト機能を実装することで、販売者による出品に加え、消費者側から需要を提示する双方向型の取引形態を実現し、需要と供給の不整合を抑制する構成とする。また、販売者の負担軽減を目的とし、画像認識モデルを用いた出品補助機能を実装する。本研究ではTeachable Machineを利用し、商品出品時にアップロードされた花の画像から、花の種類および色に基づくカテゴリタグを自動的に提案する仕組みを構築し、入力作業の簡略化と商品情報の統一性向上を図る。加えて、ユーザへのアンケート調査結果をもとに、商品の表示順およびおすすめ商品の提示方法を調整する補助機能を実装し、利用者の関心および評価を反映した商品表示を行うことで、閲覧性および利便性の向上を図る。
以上の実装を通じて、本研究で提案するプラットフォームの実現可能性を検証する。

ユーザーフロー図

summarize まとめ

本研究では、フラワーロス削減を目的とした双方向型eコマースプラットフォームの構想に基づき、プロトタイプシステムの設計および実装を行った。
消費者が商品に対する要望を投稿できるリクエスト機能を中心とした取引形態を設計し、販売者と消費者が相互に関与可能な仕組みを構築した。
また、画像認識モデルを用いた出品補助機能や、アンケート調査結果を反映した商品表示機能を実装し、出品作業の補助および閲覧性向上に関する設計上の知見を得た。今後は、利用データの収集および評価指標の設定を行い、本研究で提案した仕組みの有用性を定量的に検証する必要がある。

psychology 画像認識体験

本研究で作成した「花画像認識モデル」を体験できます。 精度は約80%程度です。